(アマゾンでの表示)
遠い旋律、草原の光は、ロシアの作曲家、カリンニコフの交響曲第1番をモチーフにした、ミステリないし恋愛小説。そのシンフォニーは、第四楽章の冒頭では、メイン(第一楽章)の主題が反復されるところを例えば作中では、このように表現、それは「風ノ色、水ノ音」だと言う。
第一楽章で流れたあの懐かしいメロディが、逝《い》ってしまった人の面影のように束の間現れるのだ。…
交響曲は終結部《コーダ》に入った。
行きつ戻りつしながらロシアの平原を疾走していた馬車は、ひときわ鮮やかな緑の叢《くさむら》をかき分けながら進む。草はしだいに深くなり、馬の四肢《しし》と車輪に絡みつく。…
一つの円。
ささやかな白いものに包まれ、音楽は静止した。
ある曲を表現する文としては、上質なものと感じはしたが、はたしてその本歌取りを除けば、ちょっと「感動」的なロマンスとポーの「黄金虫」を模した暗号解読というミステリしか残らない。その暗号(とまでは言えないが)の中から、主人公の持つペンダント内のキリル文字から
ДГЕИКЖАЯШТОоЁЫЦХФЪЬЖЙГРКДШАЖОГЙЗХСсЁЖИЛПЫЮЭГЁПвМБДРЖЯЫЪЙИиЛЗФЖЁКТЦШБПдПУБШКЁЙФОЧЁаЯФЧБЖХЁЫЛЮКнДЛЗЭЁЛЫЖИВиЖЮСУЁЫЙОЭЗЯя
これは解読は容易だろう。〇〇字ごとに文字を抜き出せば、誰でもはじめに習うロシア語文になる。答えは?
Youtubeで、交響曲第一番を含むカリンニコフの曲集がある。