Rhapsody in インフルエンザワクチン(その 1)

Rhapsody(狂詩曲)とはちょっと不謹慎なタイトルだが、毎年この季節になるとインフルエンザワクチンに追われる忙しい日々が続く。とりわけ今年は、「鳥インフルエンザ」への警戒感が強く、ワクチン希望者が殊の外多いようだ。

以前、学校での集団接種が盛んだった頃、一つの学校あたり数百人という単位でうっていたが、今から思うとよくあんな事が出来たかと思う。ある中学校で、生徒を静かにさせるために、問診や診察中ずっと教師がどなりちらしていた。「あの〜、先生の声の方がうるさいんですが…」と、よっぽど言おうかと思ったほどだ。やがて、群馬県高崎市医師会の報告で、学校で集団接種しても、インフルエンザ流行期の欠席率には差がないとが出たときには、「じゃあ、今までやってきたのは何なの?」とショックだった。しばらくは接種中止の期間が続き、秋から冬へは落ちついて診察できると思っていたが、昨今はまた事情が違ってきた。

もともとインフルエンザワクチンは、他のワクチン—例えば麻疹ワクチンなどと違い[b]不活化[/b]ワクチンである。生きたウィルスを使わないので、免疫=感染への抵抗力をつけるというより、以前罹ったインフルエンザへの抗体をもう一度[b]目覚めさせる[/b]という効果である。だから、小児、特に乳幼児のようにウィルスに触れる機会の少なかった個体には、はっきり言って効果がない実感を得ているので、その事を納得してもらって、小児には接種している。したがってワクチン対象は、いざインフルエンザに罹ると命取りになりかねない高齢者であると思っている。

こうした経験に基づいて、高齢者には接種を強く勧めている次第であるが、ある日の診察室での会話…

「ちゃんとインフルエンザの予防接種しといたほうがええよ!」
インフレだっか」
「インフレはあかん、そうじゃなくって、インフル!」
「そっだっか、やっぱり飲んだ方がよろしおますか?」
「うん、三杯酢にして…ちゃうちゃう、インフルは、注射するんやがな」
「…」

と、今日も高齢者を相手に説得は続いているのであった。


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