いま、地球の子どもたちは—2015年への伝言

〈3〉よごれた水をのむ子どもたち(保健・医療)


妻が、教材用にと注文した「いま、地球の子どもたちは—2015年への伝言」が届いた。うち、第 3巻の保健・医療編のページを広げてみた。以前、世界の軍事費のうち、たった 10秒間の経費を浮かせば、アフリカの子供たちに、はしかワクチンを接種する費用がまかなえると聞いたことがある。それから、20年くらい経って、途上国のワクチン事情はどうなったのだろうか?その当時、ワクチン接種率は、世界全体で、12.5%、現在では、80% に達したとこの本で触れている。しかし、同時に、ワクチン接種の地域格差は広がり、三種混合(ジフテリア、破傷風、百日咳)ワクチンは、初回三回+追加一回の接種が原則であるが、三回目がうけられない子供は、世界で、3,400万人(サハラ以南のアフリカで、1,160万人、南アジアで、1,390万人など)にのぼるとの事である。その他、はしか、ポリオ、結核は予防接種効果が高いのだが、そうした恩恵にあずかる機会は、途上国では、依然として少なく、子供の命をおびやかす病気である。また、HIV 感染(エイズ)は、いまや 15歳から 49歳の年齢層では死亡原因のトップであり、小児期の感染のみならず、親や家族を亡くしたエイズ孤児が、2010年には、2,500万人をこえ、新たな貧困問題となっている。マラリアや不衛生な水事情から来る下痢症など、先輩の小児科医からの「子供の病気のほとんどは栄養失調やった」との伝聞は、この地球の大きな部分を占める地域では、昔話ではすまない。過去に引き起こした、いや現に引き起こしてもいる、枯葉剤、地雷、劣化ウランなどの戦争の犠牲は、結局、子供たちに重くのしかかる。

2000年 9月、国連が定めたミレニアム開発目標(ミレニアムゴール=MDGs) 8項目のうち、3項目がこうした途上国のの現状をふまえた保健医療面での改善である。ゴール年の 2015年まで、10年を切っている。実際の医療の現場で出来ることは限られているかもしれないが、少なくとも、何が出来るか、何が必要かを常に考えてゆくスタンスは保ち続けたい。

先日、「風の良寛」を紹介したが、同じ著者、中野孝次氏の「清貧の思想」文庫本での解説の最後に、内藤克人氏は書いている。

 食卓の上の一本のバナナ、一杯のコーヒーは、それらを送り出した島の、労働するものの生活費を賄うに足る正当な代価と引き換えに運ばれてきたものか、否か、を、問え。

格差増大と引き換えに、清貧とは逆の「豊穣」という価値を選択している日本の社会の構造が、「勝ち国」「負け国」という地球規模の格差をも作り出しているのだろうか?ここらへんで、立ち止まり、やり直さなければ、とつくづく思う。


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