筧久美子「李白」


角川ソフィア文庫—ビギナーズ・クラシックシリーズ
ゲット価:619円

最近ちょっと漢詩に凝っている。個性ある中国詩人の中でも、李白は好きな詩人の一人である。「南北漫遊、求仙訪道、登山臨水、飲酒賦詩」とは彼の人生を表す言葉らしいが、そんな生涯からの漢詩のエッセンスを伝えてくれる小冊子である。

 天門山てんざんのぞ

天門てんざん なかえて 楚江そこうひら
碧水へきすい ひんがしながれて ただちにきためぐ
両岸りょうがん青山せいざん 相対あいたいして
孤帆こはん 一片いっぺん 日辺じっぺんよりたる

のような、揚子江の流れをダイナミックに歌う、若い頃の浪漫溢れる詩も良いが、晩年のすこし枯れた「秋浦歌全十七首」の李白も心に沁みる。

 秋浦しょうほうた 其の十七
桃波とうは 一歩いっぽ
了了りょうりょう 語声ごぜい こゆ
ひそかに 山僧さんそうわか
こうべた/rt>れて 白雲はくうんれい

流れゆく白い雲に挨拶する光景は李白らしいと思ったが、桃波、白雲ともに固有名詞や実際にあった寺の名前らしい。しかし、桃源郷を思わせるような「桃」の字であり、浮世離れした所で、浮雲を見あげている李白の姿が彷彿としてくる詩である。


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