杜牧詩選と増補 春夫詩鈔

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杜牧詩選

杜牧詩選

改めて杜牧の一番の長編詩「杜秋娘詩」を読みました。以前あまり感じませんでしたが、少なくとも前半は彼の女性に対するそれなりの優しさが伝わってきます。「十年一たび覚む 揚州の夢、あまし得たり 青楼 薄倖の名」と、遊郭にプレーボーイの浮名を流した杜牧の事ゆえ、女性の身の上話に親身に耳を傾けたのかもしれませんね。杜秋娘は、初唐の時代の女性、妾に入った李錡という大官が反乱の罪で滅ぼされた結果、朝廷に召されて、時の帝憲宗に寵愛されました。その後、憲宗の孫、漳王の乳母になりましたが、漳王も政争の犠牲になり、廃せられ、故郷、揚子江領域の京口(潤州)に再び零落した姿で戻された、その晩年の彼女を杜牧は見て詩を作ったとされています(佐藤春夫「車塵集」の詩人略伝による、この略伝は奥野信太郎によるものかもしれない)が、杜秋娘は、漳王の乱以前に故郷に帰ってきており、史実とは少し違うようです。いずれにしても、世の移り変わり、栄耀栄華とその没落には、自らの身に照らして、杜牧には心動かされたのでしょう。

  杜秋娘詩(一部)
京江 水は清く滑らかに
女を生めば 白きこと脂の如し
其の間 杜秋なる者
朱粉の施を労せず
老濞 山に即きて鋳
後庭 千の双眉あり
秋は玉斝を持って酔い
与に唄う 金縷の衣
濞 既に白首にして叛し
秋も亦た 紅涙多し

四朝三十載
夢に似て復た非なるかと疑う
潼関 旧吏を識るも
吏髪 已に糸の如し
却び喚ぶ 呉江の渡し
舟人 那ぞ知るを得ん
帰り来たれば 四隣改まり
茂苑は 草菲菲たり
清血 灑げども尽きず
天を仰ぐも 誰に問うを知らんや
寒衣 一疋の素
夜 隣人の機を借る

 

杜牧の詩中の、杜秋娘が作ったとされる(確証はないらしいです)「金縷衣」は、佐藤春夫の、中国女流詩人訳詩集の「車塵集」の冒頭に載っています。

ただ若き日を惜しめ

勸君莫惜金縷衣 君に勧む 惜しむ莫れ 金縷の衣
勸君須惜少年時 君に勧む 須からく惜しむべし 少年の時
花開堪折直須折 花開きて 折るに堪へなば 直に折る須し
莫待無花空折枝 花無きを待って 空しく枝を折る莫れ

綾にしき何をか惜しむ
惜しめただ若き日を
いざや折れ花よかりせば
ためらはば折りて花なし

 


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