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ファシズムの誕生―ムッソリーニのローマ進軍

ファシズムの誕生―ムッソリーニのローマ進軍

最近、ドイツにおけるファシズム(ナチズム)の成立は、いくつかの新書版など出版も増えてきたが、イタリアでの事情はドイツより10年位先輩格であるにもかかわらず知られることもより少ない印象である。1987年出版の本書は、独裁者ムッソリーニの思想的には「社会主義者」としてデビューした彼の生い立ちから、その頂点というべき1922年の「ローマ進軍」までの丹念な「年代記」である。

イタリアというラテンの血の伝統なのか、その権力奪取の凄まじさは中途半端なものではない。また、ファシズムに抵抗する勢力も命懸けだ。

問題なのは、その反ファシズムの運動が、部分的にはグラムシなどの理論的な格闘はあったが、(イタリア社会党に対するコミンテルンの「指導」も今から考えるとめちゃくちゃである。)あらゆる局面で効果的であったかどうかであろう。現代日本の「右翼」的論調がムッソリーニと全く同質とは言わないが、多くの共通点がある以上、私たちに重くのしかかる課題である。

「アルトロ・ウィの勃興と没落」ではないが、ムッソリーニの没落も聞きたいところではあるが、著者の逝去でその続篇はかなわぬこととなった。その没落の年代記は私たち自身で書かなければならないのだろう。