タグ別アーカイブ: 宮沢賢治

2月10日の診療

*今日は、どうも調子が出ない。病児保育の熱が続く子はインフルエンザに違いないと思ったが、2回めの迅速反応も陰性。インフルエンザの治癒証明書を書こうと思った子は、もう別医で登園許可証をもらったり…こういう齟齬のある日もあるか?

研磨後の孔雀石 Wikipediaより

研磨後の孔雀石 Wikipediaより

というわけで、昨日の続きで、板谷英紀「賢治博物誌」をパラパラ読んでいた。「1923年夏の樺太旅行の帰途、室蘭本線上り列車に乗っていた8月11日の夜明け前頃」の詩だそうだ。それまでに、賢治は、孔雀石の研磨の技術を身につけたらしい。(青空文庫カード

噴火湾(ノクターン)

わかいゑんどうの澱粉や緑金が
どこから来てこんなに照らすのか
(車室は軋みわたくしはつかれて睡つてゐる)
とし子は大きく眼をあいて
烈しい薔薇いろの火に燃されながら
(あの七月の高い熱……)
鳥が棲み空気の水のやうな林のことを考へてゐた
(かんがへてゐたのか
いまかんがへてゐるのか)
車室の軋りは二疋の栗鼠りす
ことしは勤めにそとへ出てゐないひとは
⦅みんなかはるがはる林へ行かう⦆
赤銅しやくどうの半月刀を腰にさげて
どこかの生意気なアラビヤ酋長が言ふ
七月末のそのころに
思ひ余つたやうにとし子が言つた
⦅おらあど死んでもいゝはんて
あの林の中さ行ぐだい
うごいで熱は高ぐなつても
あの林の中でだらほんとに死んでもいいはんて⦆
鳥のやうに栗鼠のやうに
そんなにさはやかな林を恋ひ
(栗鼠の軋りは水車の夜明け
大きなくるみの木のしただ)
一千九百二十三年の
とし子はやさしく眼をみひらいて
透明薔薇の身熱から
青い林をかんがへてゐる
フアゴツトの声が前方にし
Funeral march があやしくいままたはじまり出す
(車室の軋りはかなしみの二疋の栗鼠)
⦅栗鼠お魚たべあんすのすか⦆
(二等室のガラスは霜のもやう)
もう明けがたに遠くない
崖の木や草も明らかに見え
車室の軋りもいつかかすれ
一ぴきのちひさなちひさな白い蛾が
天井のあかしのあたりを這つてゐる
(車室の軋りは天の楽音)
噴火湾のこの黎明の水明り
室蘭通ひの汽船には
二つの赤い灯がともり
東の天末は濁つた孔雀石の縞
黒く立つものは樺の木と楊の木
駒ヶ岳駒ヶ岳
暗い金属の雲をかぶつて立つてゐる
そのまつくらな雲のなかに
とし子がかくされてゐるかもしれない
ああ何べん理智が教へても
私のさびしさはなほらない
わたくしの感じないちがつた空間に
いままでここにあつた現象がうつる
それはあんまりさびしいことだ
(そのさびしいものを死といふのだ)
たとへそのちがつたきらびやかな空間で
とし子がしづかにわらはうと
わたくしのかなしみにいぢけた感情は
どうしてもどこかにかくされたとし子をおもふ

(一九二三、八、一一)

*今日のメディア逍遥
〽人生は所詮は序曲舞台ではどんな芝居がかかるのだろう

*外つ国言の葉の庭

今日も、FBコメントそのまま…
[Esto y aquello de verbo español(スペイン語動詞あれこれ)38]
¡Buenos días! Me llamo Don Quixote.接続法は、そのことだけで一冊の教科書ができるほどで、すべてにわたる説明はできませんが、とりあえず、教科書的に…「直接法」は、「事実や行為を現実・事実として述べます。」例文です→ A gente de Tokio le molesta Señor Masuzoe .(ま◯ぞ◯さんは、東京の人たちには迷惑な存在です。[molesta:molestar「人に迷惑をかける」の三人称単数形、le は、三人称単数の間接目的語】)一方、「接続法」は、「事実や行為を非現実・仮定として述べます」例文です。No creo que Señor Masuzoe haga política buena.(私は、◯す◯えさんが良い政治をするとは思えません。creo:creer[think:「考える」の直接法一人称単数形、haga:hacer[do:「する」の接続法三人称単数形])今日はこれくらいで…では、¡Adios!

2月9日のオフ

*とりとめのない話題で引用二つ…

板谷英紀「賢治博物誌」を読んでいたら、「貝の火」に出ている「玉」はオパール(正確に言うとオーパル)だそうだ。以下の文章ではすごく美しく描写されている。

…ホモイは玉を取りあげて見ました。玉は赤や黄のほのおをあげて、せわしくせわしくえているように見えますが、じつはやはりつめたくうつくしくんでいるのです。目にあてて空にすかして見ると、もうほのおはなく、天の川が奇麗きれいにすきとおっています。目からはなすと、またちらりちらりうつくしい火がえだします。…

かいの火が今日ぐらいうつくしいことはまだありませんでした。それはまるで赤やみどりや青や様々さまざまの火がはげしく戦争せんそうをして、地雷火じらいかをかけたり、のろしを上げたり、またいなずまがひらめいたり、光のながれたり、そうかと思うと水色のほのおが玉の全体ぜんたいをパッと占領せんりょうして、今度こんどはひなげしの花や、黄色のチュウリップ、薔薇ばらやほたるかずらなどが、一面いちめん風にゆらいだりしているように見えるのです。…

宮沢賢治「貝の火」(青空文庫カード

なんぢをばかなしまず行けたとへそらOPALの板となりはつるとも。

ぬれそぼちいとしく見ゆる草あれど越えんすべなきオーパルの空

宮沢賢治・短歌

NHKカルチャーラジオ「漢詩をよむ」を聴いていたら、次のような詩が取り上げられていた。消寒会という寒さをしのぎ、山水画を楽しむ会合での詩。臘梅を「磬口の花」というらしい。磬口とは、仏事で用いる広口の鐘のこと、蝋梅の花の形が似るとある。以下の解説にあるようなイメージだろうか。

やさしい仏教入門
蝋梅ろうばい磬口けいこうの花と言えるとか

消寒絶句六首 其二 清・呉錫麒
礬頭山在屋頭堆
磬口花于水口開
不遇故人誰共賞
打氷声裏一舟来

消寒絶句六首 其の二 清・呉錫麒
礬頭ばんとうの山は屋頭に在りてうずたか
磬口けいこうの花は水口にいて開く
故人にわずんば誰か共にか賞せん
打氷 声裏 一舟来る

*外つ国言の葉の庭

今日も、FBコメントそのまま…
[Esto y aquello de verbo español(スペイン語動詞あれこれ)37]
¡Buenos días! Me llamo Don Quixote.今日は力作です(笑 昨日の例文の解説になるか分かりませんが…まず、aprender:learn「学習する」の「未来形」の人称変化です。-é -ás -á -emos -é -án と動詞不定詞に語尾変化のつく規則変化です。ser:be「〜である」などの不規則変化っぽい動詞も同じ人称変化をします。動詞の「未来形」は、ある文法書によると「現在推量形」と命名したほうが分かりやすいとある、と書きましたね。昨日と今日の例文でも、「学ぶだろう」「〜であろう」の意味です。では、力作(というより、演説が力作、名演説)の例文(笑 Señor Utsunomiya citó a Jou Niizima y habló al pueblo en mitin último ‘La verdad es similar a un ciruelo de época fría,se atreve a florecer contra el viento y la nieve.’ A os ese discurso será inolividable todo el tiempo.(宇都宮さんは、最後の集会で、新島襄を引用し、人々に話しました、「真理は寒梅の似し 敢えて風雪を侵して花開く」。私たちには、その演説は忘れがたいものになるでしょう。ねんのため、演説全文です。 次回からは、いよいよ西語の難関、「接続法」です。では、¡Adios!

*今日のメディア逍遥
〽それぞれに諸行無常の響きあり野望の人の明日はいずこか


2月28日のオフ

*今日のメディア逍遥
宮沢賢治「グスコーブドリの伝記
「生徒諸君に寄せる」詩碑

秋田魁新報のコラム欄北斗星(2011年12月18日付け)(今は、Web 上に存在しない)に、宮沢賢治の「グスコーブドリの伝記」でのブドリの活躍と福島原発事故を絡めて、

▼政府は福島原発事故の収束を宣言したが、避難者の帰還のめども立たないのに何が収束かという不信の声が渦巻いている。人類史に残る過酷事故である。その対応には、ブドリのような献身さがほしい。

と書く。でも、それはちょっと違うんじゃあないかな。ブドリのそれは決して単なる「滅私奉公的な献身」じゃないはずだ。
若い頃見た東京演劇アンサンブルの「グスコーブドリの伝記」は忘れられない芝居の一つである。ラストシーンで、

ブドリは英雄になった。しかし、なぜ英雄が必要だったのか、それは私たちの問題である。ああ諸君よ諸君…

と自らを犠牲にしてイーハトーヴの農民を救うために火口に飛び込んでいったブドリを悼み、クーボー大博士は、こう問いかける。そして、たしか、劇冒頭にも出てきた気宇壮大な彼の詩で私も大好きな「生徒諸君に寄せる」の一節を引用するのだった。

賢治は「グスコーブドリの伝記」の結末では、ブドリが「一人島に残」った事しか書いていない。現代に通じる芝居としてどう成り立たせるか、脚本兼演出家の広渡常敏氏の手腕がさえた結末だと記憶している。

「英雄の必要な時代は不幸である。」とは確かエンゲルスの言葉である。


2月11日のイベント

*昨日の二日酔いから完全に醒めぬまま、会場へ!その場で「発表原稿」を書き上げたので、当初予定していたサプライズは結局できず、「おっちゃんギャグ」(家人から言わせると「おじんギャグ」と酷評(笑))にとどめた。それよりも嬉しかったのは、FB友、Yさん(もちろん、妙齢の女性)からステキなプレゼント(写真)、「Chocolate for Tomorrow」って、彼女の感性の豊かさ・センスの良さを感じた。

学術運動交流集会会場でのステキなプレゼント

学術運動交流集会会場でのステキなプレゼント


*今日のメディア逍遥

午前中は、三上満さんの講演「「いまに生きる宮沢賢治の思想と文学」、録音していたが、かなり音飛びがあるので、後日紹介しような?Youtube に、昨年9月2日に共同組織交流会での講演 「震災に生きる宮澤賢治の世界観」があったので…
その中から三上さんが「世界最高の詩のひとつ」と絶賛する詩を…
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2月9日の診察室

*ようやく、病児保育「まつぼっくり」の隔離室は、利用者ゼロ、さて来週はどのような展開になるのか?そこで、インフルエンザの検査をするにあたっての、子どもを和ませる会話(その1)「あっ、のどにバイキンマンさんが3匹おるわ、今度は、鼻に逃げていったわ、じゃあ、バイキンマンさんを捕まえよう!」と鼻に綿棒を入れる。
*今日のメディア逍遥

2月6日付の赤旗文化欄・三上満さん・宮沢賢治の教育論

2月6日付の赤旗文化欄・三上満さん・宮沢賢治の教育論


2月6日付の赤旗文化欄、三上満さんの宮沢賢治の教育論に関する投稿(画像は、FB友のやまなかけんじさんのウォールにあったもの)、明後日、大阪民医連の学術運動交流集会の三上さんの講演に先立って読んでみた。以下は、その記事にも引用される宮沢賢治の「生徒諸君に寄せる」
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