去年は庭先に合歓の木があり、今頃には花をつけていましたが、今年はどうも枯れてしまったようです。そこで、江馬細香の合歓の花の漢詩と、木下杢太郎画「新編百花譜百選」より、1943年7月30日のスケッチを掲載しておきます。
夏の夜
雨晴れて 庭の上には 竹そよぐ風多し
新しき月は眉の如く繊 かなる影は斜めなり
深夜 涼しきを貪 りて 窓を掩 はず
暗 しき香 枕に和す合歓 の花
芭蕉の「象潟や雨に西施が
去年は庭先に合歓の木があり、今頃には花をつけていましたが、今年はどうも枯れてしまったようです。そこで、江馬細香の合歓の花の漢詩と、木下杢太郎画「新編百花譜百選」より、1943年7月30日のスケッチを掲載しておきます。
夏の夜
雨晴れて 庭の上には 竹そよぐ風多し
新しき月は眉の如く繊 かなる影は斜めなり
深夜 涼しきを貪 りて 窓を掩 はず
暗 しき香 枕に和す合歓 の花
芭蕉の「象潟や雨に西施が
先日、
閑居雜題
閑居雑題 浴罷籬頭立 浴し
罷 りて籬頭 に立つ
晩風梔子香 晩風梔子 香る
夏花宜雪白 夏花 雪白 宜し
中有自然涼中 に 自然の涼 有り
短い五言絶句の中に、細香らしい平易でいて、しかも爽やかな表現ですね。後藤松陰の評に、「水梔か、大梔か、消夏の妙境なり」とありますが、水梔はコクチナシ、大梔は、八重咲きのクチナシと思われます。したがって、先日の写真は、大梔なのでしょうかね。(今日の写真は、英語版 Wikipedia から、六弁のクチナシです。)
日本ペンクラブのサイトに、電子文藝館という、小説やエッセーが載っているページがあります。なにげなく、ながめていたら、次のような漢詩が目につきました。(詠う季節が、ちょっとチグハグなのはご容赦ください。)
冬夜
冬夜 爺繙欧蘭書
爺 は繙 く欧蘭 の書
児読唐宋句児 は読む 唐宋の句
分此一灯光 此の一灯の光を分かちて
源流各自泝 源流 各々自 ら泝 る
爺読不知休 爺は読みて休 むことを知らず
児倦思栗芋児 は倦 みて栗芋 を思ふ
堪愧精神不及爺愧 づるに堪 ふ 精神 爺に及ばず
爺歳八十眼無霧 爺は歳八十 眼に霧なし
一九世紀のはじめ頃、美濃の一隅で、一つのランプの光を分けあって、それぞれの勉学にはげむ父と娘。疲れて、ふとおやつがほしくなる娘、しかし、一向に疲れを知らぬ父の姿に畏敬の念を感じて恥じる。