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夜明けの雷鳴

幕末と明治の二世を生きた医師・高松凌雲の原点は、パリでの万国博覧会に随行したおり、学んだフランス医学だったんだ。きっと「自由、平等、博愛」のフランス革命の精神が息づいているのだろう。それが、函館五稜郭戦争の時、敵味方なく医療を施した経歴や後の社会的弱者のための無料医療の取り組みにもつながっているんだ。それは、遠く現代の民医連の院所などで実施されている「無料低額診療」へと生かされてゆく。

日本において、フランス医学ないしそのバックボーンとしてのフランス思想の系譜は決して太いものではない。高松凌雲を魁として、中江兆民をその偉大な例外としつつ、遠く時代隔てて、加藤周一、加賀乙彦あたりに注いでいる。

吉村昭の歴史小説は、森鷗外の伝統を受け継いだとでもいようか、素っ気ないほど余計な筋立てや仕掛けがないのが好感が持てる

吉村昭「夜明けの雷鳴」

吉村昭「夜明けの雷鳴」

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